睡眠がストレス解消になるのはなぜなのか?そのメカニズムが気になりますよね。
睡眠をしっかりとることはストレス発散になるとはよく聞きますが、あれってどういう理由でそう言われているのでしょうか?気になったので睡眠とストレスについての論文を読んでみました。
嫌なことがあれば、とにかく寝ればストレス対策になるってこと何でしょうかね?そんなことを思いながら読んでいると致命的な自分の勘違いに気づいてしまいました…
まずは私が読んだ睡眠とストレスの論文についてご紹介しましょう。
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Contents
睡眠とストレスの論文を読んでみた
睡眠とストレスの関連を知るために、岐阜医療科学大学から発表された『看護学生の臨地実習におけるストレスと睡眠時間との関連』という論文を読んでみました。
論文の元となるものは、看護学生95名を対象として、睡眠時間とストレスの関連を調べたもの。
しかも、看護学生の1,2年生ではなく、実際の病院での実習があり、よりストレスを感じやすい3年生を対象として論文にまとめられました。
調査内容は、ストレス尺度を用いて看護学生のストレス尺度を測り、ストレスを数値化。睡眠時間とストレス値の関連を調べたものです。
結果としてまとめられている部分を抜粋すると、
本研究の結果,実習場面として挙げた55項目の中で,睡眠時間が3時間以内の者の方が強くストレスを感じていた場面が7項目あり,実習におけるストレスと睡眠時間との間に関係がみられた。
看護学生3年生が実習中に感じたストレスと睡眠時間との関連を検討した。
睡眠充足群に比べ睡眠不足群で高いストレスが見られ,ナースとの関係,専門的な知識不足と実習記録に関すること,患者や患者家族との関係に関するものであった。
これらのことから対人関係調整,学習環境の調整による睡眠時間の確保が示唆された。
睡眠時間が短い人、今回の調査においては睡眠時間が3時間以内だった看護学生は、他の5時間以上睡眠を取っている学生よりも強いストレスを感じている特定のストレスがあることがわかったんだそうです。
ふむふむ…と、読み進めていって自分の重大な勘違いに気づきました。
それは…
どういうことなのでしょうか?次の章で解説します。
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睡眠とストレス解消にまつわる勘違い
睡眠で何でもかんでもストレスが解消されるわけではなく、睡眠不足によって生じるストレスは質の良い睡眠をとることで解消されます。
甘いものを食べるから太っている人が、甘いものを食べるのを辞めたら肥満が解消できる…というのと同じくらい当たり前の話ですね。
もう少し詳しく解説すると、睡眠不足によって、集中力が落ちたり、頭が回らないことで起こるストレス、睡眠不足で疲労がとれないことで感じるストレスなどなど、睡眠不足よにって感じるストレスがあります。
そういった睡眠不足が原因で感じているストレスが質の良い睡眠をとると解消される。ということです。
もしかしたらあなたも私と同じく、睡眠によるストレス発散をどこか魔法のようになんでも解消してくれるものだ…と勘違いしていないでしょうか?
- 仕事で嫌なことがあってストレスを感じる→寝ればストレス発散
- 失恋して悲しくてストレスがいっぱい→寝ればストレス発散
- 家庭で思い通りに家族が動いてくれない→寝ればストレス発散
残念ですが、何でもかんでも『寝ればストレス発散になるよ!』というわけではないんですね。
では、先で紹介した論文を例にとって、具体的に睡眠で発散できるストレスは何でしょうか?次の章で解説します。
睡眠で発散できるストレスとは?
睡眠で発散できるストレスは、睡眠不足によって生じるストレスです。
例えば、先ほどの論文で睡眠不足がひどかった看護学生たちが感じた特定のストレスの中に、『専門的な知識不足と実習記録に関すること』があります。
つまり、知らないこと、わからないことに対してのストレス値が他の睡眠時間が5時間以上だった看護学生よりも高かったわけですね。
で、記憶は眠っている時に強化されるものですから、睡眠時間が短いとせっかく実習で学んだことも記憶されないので、次の日にはあまり覚えていなかったりするでしょう。
そうなると、知識不足を感じる頻度も多くなり、ストレスは睡眠時間が確保できていない学生よりも数値が高くなるのは容易に想像できますね。
睡眠と記憶の関係としては、2000年に行われたハーバードメディカルスクールのロバートスティックゴールドの論文を参照。
しっかりと睡眠時間を確保させたあとでテストを行うことで、その前にテストした時よりも点数が格段によくなったんだとか。
逆に睡眠不足だった場合は、新しいスキルを身につけるスピードが極端に遅かったこともわかったんだそうです。
まぁまぁ、睡眠不足なんだからそれはそうでしょ…と思うでしょう。
つまり、看護学生で睡眠時間を削って勉強をし、3時間未満の睡眠しかとれていなければ勉強していたことが記憶できない。
そして、翌日の実習にも影響を及ぼしてしまい、ストレスを強く感じる…もっと勉強が必要だと思い、さらに睡眠時間を削って頑張る…という悪循環に陥って、ストレスでいっぱいの生活を送ってしまう。
よって、睡眠不足が激しい看護学生たちが、しっかりと睡眠時間をとれば、ロバートスティックゴールドの論文結果のように格段に記憶力が向上し、ストレスを感じる場面も減ると予想できる。
睡眠をとることでストレス解消につながるわけです。
看護学生の話をまとめると、睡眠不足によって記憶力が落ちて、それが原因でストレスを感じる場面が増えるから、その場合は睡眠時間を確保することで、ストレスが解消される…という話でした。
とはいえ、私も…多分、多くの人も勘違いしているように『なんでも睡眠をとればストレス発散になるよ!』と思えるくらい…睡眠不足による人体への悪影響は大きいようです。
というのも、少し前に説明した、
- 仕事で嫌なことがあってストレスを感じる→寝ればストレス発散
- 失恋して悲しくてストレスがいっぱい→寝ればストレス発散
- 家庭で思い通りに家族が動いてくれない→寝ればストレス発散
これらのことも睡眠不足であると、より辛く、より嫌なことで、より悲しく、より不安に感じてしまうようです。
そのため、
- 仕事で嫌なことがあってストレスを感じる→寝ればストレス発散
- 失恋して悲しくてストレスがいっぱい→寝ればストレス発散
- 家庭で思い通りに家族が動いてくれない→寝ればストレス発散
どういうことでしょうか?次の章で解説します。
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睡眠不足により受ける悪影響
アメリカのブラッドレイ大学の研究で、人は睡眠不足だと気分や脳の認知機能を大きく損なうことがわかったんだとか。
認知機能とは、厚生労働省が運営するe-ヘルスネットからその意味を抜粋すると、
理解、判断、論理などの知的機能のこと。
認知とは理解・判断・論理などの知的機能を指し、精神医学的には知能に類似した意味であり、心理学では知覚を中心とした概念です。
心理学的には知覚・判断・想像・推論・決定・記憶・言語理解といったさまざまな要素が含まれますが、これらを包括して認知と呼ばれるようになりました。
引用:e-ヘルスネット
つまり、より理解力、判断力、倫理力、想像力、決定力、記憶力などなど様々なものが大きく損なうわけなので、睡眠時間をしっかり確保している時よりも、より悲観的に物事を捉えてしまうようになることが考えられます。
実際、睡眠不足な人ほど鬱になりやすい傾向があるそうです。日本大学の内山誠教授が書いた記事を一部引用すると、
原因ははっきりとはわかっていませんが、不眠のある人や睡眠が極端に短かったり長かったりする人は、うつ病になりやすいことがわかっています。このように、睡眠はこうした病気のなりやすさと関連していることが考えられています。
引用:NHK 健康ch
このように睡眠不足は身体的にも精神的にも悪影響を及ぼすため、なんでもかんでも『睡眠でストレスが解消られる』と思ってしまうようになっても仕方がないのかなと思いました。
また、ストレスを多く感じると睡眠が長くなるように感じる人もいるでしょう。あれは、ストレスを感じていることで眠りの質が浅くなり、結果、長時間の睡眠が必要になってしまうからだと思われます。
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ストレスがあると睡眠が長くなる理由
ストレスが強すぎて寝すぎるんだよね…と思っている人もいるでしょうが、それは睡眠が浅くなってしまい、長時間睡眠を取らなければならない身体的精神的状況になっているからだと思われます。
カリフォルニア大学のアリソン・ハーヴェイ氏の研究では、楽しいことを考えて眠ることで普段よりも早く眠りにつくことができたそうです。
睡眠の質を高めるためには最初の3時間が勝負ですから、ストレスや不安で頭がいっぱいだと眠りの質も浅くなってしまい、結果、長時間の睡眠が必要となってくるのでしょう。
では、ストレスで睡眠が浅い人はどうすればいいのでしょうか?次の章で解説します。
ストレスで睡眠が浅い人はどうすればいいのか?
ストレスで睡眠が浅い人は、まずは睡眠の質をあげるように努めてみてはいかがでしょうか?
いやいや、すでにストレスを感じているんだから、そのストレスをどうにかしなければならんでしょ!と思うかもしれません。
しかし、その感じているストレスも睡眠不足によって、より大きくなっているストレスかもしれないですよね。なので、まずは睡眠の質をあげることからやってみることを私はオススメします。
では、どうすればいいのか?というと、まずは睡眠不足の解消のために休みの日にしっかり睡眠をとることから始めるといいでしょう。
ただ休みも少なく、睡眠時間もなかなか確保できない人も中に入るでしょうから、そういう方は他にも睡眠の質を高める方法を紹介している記事がありますので、こちらの『睡眠の質を上げる方法7選!目覚ましなしで毎朝起きるための改善とは』という記事と、
こちらの『寝る方法を教えます!簡単にできる爆睡術…上手くいけば1分で夢心地』という記事を参考にしてくださいね。
睡眠とストレスの関連についてまとめました。睡眠時間を最低でも6時間以上は確保し、睡眠不足による悪影響を限りなく小さくするようにしましょう。
また、睡眠不足が原因ではない部分でストレスを感じているのなら、その部分とちゃんと向き合い、どうすれば解決できるのか?頭を使って考えることが大切ですね。
多くの人が基本的に睡眠不足であると考えると、睡眠をとることで何でもかんでもストレス発散できるとは言えなくもないとは思います。睡眠をしっかり確保することで、ストレスを軽減する効果はありそうですね。
ただし、睡眠不足が原因ではないストレスについては、寝てもストレスが完全に解消されるわけではありません。私も勘違いしていましたが、言われてみるとそりゃそうか…って話ですね。
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